「大日如来」
大日如来は、13回忌の導師で、真言は、「オン バザラダト バン」。「大日」とは、サンスクリット語で「マハーバイローチャナ」と言って「偉大な輝くもの」という意味です。大日如来の名前は、太陽である「日」に「大」を加えて「大日」と名付けられたといわれ、太陽を中心とする宇宙そのものが大日如来の身体であるという考えです。宇宙に存在するものは全て大日如来そのものであり、すべての諸仏諸菩薩は大日如来から派遣されたものと捉えます。
真言密教の根本教典である「大日経」と「金剛頂経」には、衆生の救済者として諸仏諸菩薩をはじめ諸神が説かれていますが、これらの全ては大日如来より出生し、大日如来の徳をそれぞれが分担し、衆生済度に当たられると説かれています。根本教典である両経には、大日如来の徳の現れ方を、多くの諸仏との関係において説かれていますが、その関係を図式したものが曼荼羅です。
宇宙に存在する一切のものは大日如来に胎蔵されるもの(胎蔵界曼荼羅)であり、また一切のものは何ものにも侵されない堅個な智慧の顕現(金剛界曼荼羅)であると考えるのです。密教において、大日如来はそのものが宇宙の実体であり真理なのです。曼荼羅の中では、大日如来は中心に鎮座されまさに宇宙の一切を統治されていて、その功徳によって私たち人間はすべて即身成仏ができると説きます。
また別名を毘廬遮那仏(びるしゃなぶつ)とも、遍照如来(へんじょうにょらい)とも言い、その光明が宇宙全体を遍く照らし、常に法を説いているとしています。その説法の言葉はあまりにも深遠であるために我々凡夫には秘密とされていることから、「密教」といいます。また、有名な奈良の大仏も同じ毘廬舎那仏ですが、奈良の大仏(東大寺)は華厳宗で、「遮」を「舎」と表して差別化を図っています。陽光である毘廬舎那仏の智慧の光は、すべての衆生を照らして、衆生は光に満ち、同時に毘廬舎那仏の宇宙は衆生で満たされているとされます。
合掌
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