・・・・・・平成30年06月・・・・・・

 「薬師如来
 今回は七七忌の導師、薬師如来のお話です。薬師如来は、正式には東方薬師瑠璃光如来といい、阿弥陀如来が西方極楽浄土の教主であるのに対して、薬師如来は東方浄瑠璃界の教主なのです。よって、西の阿弥陀さま、東の薬師さまともいわれます。西方浄土が来世であるのに対して、東方瑠璃界は現世であるのです。つまり阿弥陀如来が来世での安らぎを約束されるのに対して、薬師如来は現世での安らぎを聞きとどけてくださるという点が特徴といえるでしょう。
 薬師如来のそのお体は清浄にして瑠璃の如く輝いているといわれます。瑠璃は七宝の一つで紫がかった青色の宝石で、その光明は太陽や月よりも明るくその無量の光明で世界を照らし、十二の大願を発してすべての衆生を迷いや苦しみから救ってくださると云われます。
 その光明の象徴として日光菩薩と月光(がっこう)菩薩が脇侍として祀られているのが薬師三尊です。
 薬師如来は、その名の示すとおり医薬を司る仏であり、左手に薬壺を持ち、病気を治す仏さまとして有名です。
 薬壺の中には、身体の病、心の病、社会の病など、病という名のものはどんなものでも治してしまう霊薬が入っているのです。真言は、「オン コロコロ センダマリ マトウギ ソワカ」。真言(マントラ)とは、仏に守護を願い、直接呼びかける、謂わば「パワーコール」なのです。ですから特に訳す必要はありません。その言葉自体に意味があるのです。
 日光菩薩の真言は、「オン ロボジュタ ハラバヤ ソワカ」この真言を唱えれば、病根が焼かれるとのこと。
 月光菩薩の真言は、「オン センダラ ハラバヤ ソワカ」この真言を唱えれば、苦熱が除かれるとのこと。
 薬師如来のまたの名を医王如来ともいい、医薬兼備の仏さまです。人間にとって一番恐ろしいのが死を招く病気です。病気には体の病気から心の病気までいろいろあります。欲が深くて、不正直で、疑い深くて、腹が立ち、不平不満の愚痴ばかり、これらも実は皆病気なのです。薬師如来は応病与楽の法薬で、苦を抜き楽を与えてくださる抜苦与楽の仏さまです。サンスクリット語で思い通りにいかないことを「苦」といいます。その四苦八苦のなかで「病」ほど大きな苦はありません。どんなに地位名誉や財産があっても病に苦しんでいたら幸せとはとてもいえません。人類にとって健康は永遠のテーマであり、幸福の担保はまさに健康にあると言っても過言ではありません。
 どんな宗教にも多くの御利益が謳われていますが、「無病息災」こそ万人がこぞって求める最大の御利益だといえるでしょう。

合掌


来月も予定しています。光泰九拝
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