「喜心」
道元禅師は「典座教訓」の中で三つの心得を提唱されました。
「喜心、老心、大心」の三心です。
どんな仕事であろうとも坐禅と同じ弁道(修行)であるという思いがあれば喜びの心をもって仕事ができるのです。それが即ち「喜心」です。この心こそ現代人に最も欠けている一つかもしれません。現代人が喜びの心を失ってしまった最大の原因は報恩感謝の心を失ってしまったことです。ではどうしたらよいのでしょうか。
それにはまず仏法僧の三宝に帰依することです。禅師は「教訓」の中で示されています。「万法の中、最尊貴なる者は三宝なり。」 (あらゆるものの中で最も尊いもの、最もすぐれたもの、それが三宝です。)
「此の三宝受用の食を作ること、豈に大因縁に非ざらん耶。尤も以って悦喜すべき者なり。」 (この最高最良の三宝に召し上がっていただく食事を作ることができるのは、なんとありがたいめぐり合わせだろうと喜ぶべきです。)
「能く千万生の身をして、良縁を結ばしめんが為なり。此の如き観達の心、乃ち喜心なり。」 (千回万回生まれ変わるはずのわが身に、この良いめぐり合わせが結実するように努力するのです。このように深い心で見ることが、すなわち喜心です。)
三宝に帰依することで必ず報恩感謝の心が育ちます。ご本尊さまご先祖さまに毎朝手を合わせることで「喜心」が生まれます。「喜心」こそ幸福の証なのです。
合掌
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