・・・・・・平成25年5月・・・・・・
知足(ちそく)
 「知足(ちそく)」とは、「足るを知る」ことですが、お釈迦さまの遺言ともいわれる『仏遺教経(ぶつゆいきょうぎょう)』にそのお示しがありますので、読んでみましょう。
 「もし諸々の苦悩を脱せんと欲せば、当に知足を観ずべし」、苦悩のない人生はありませんが、もしもその苦悩から離れたいのであれば、足ることを知ることをよくよく考えなければならない。
 「知足の法は、即ちこれ富楽安穏の処なり、知足の人は地上に臥すといえども、なお安楽なりとす」、知足の人は心が豊かで安穏としていて、天上ではなくこの世界にいても安楽を得ることができます。しかし「不知足の者は、天堂に処すといえども、また意にかなわず、不知足の者は、富めりといえどもしかも貧し、知足の人は貧しといえどもしかも富めり」、足ることを知らない者は、たとえ幸せにあふれた天上に住んでいても、心が満たされることはなく、豊かであっても心は常に貧しい。足ることを知る人は貧しい生活をしていても、心は常に豊かである。 
 「不知足の者は、常に五欲のために牽(ひ)かれて、知足の者のために憐憫(れんみん)せらる」、足ることを知らない人は心が貧しく、足ることを知る人は心にゆとりがあります。それは「五つの欲」に引っぱられているからだと、お釈迦様は示されます。「五欲」とは、1)食欲、2)性欲、3)財欲、4)出世欲、5)睡眠欲の5つです。これら5つの欲に引きずり回されていると、心に安穏はなく、安らぐことが無いので、ストレスを抱え、疲労がたまり、長生きもできないでしょう。一方、知足の人は、これら五欲に引きずり回されることが無いので、心は平穏で、ゆとりがあります。心が自由で、豊かさがあれば、自ずとその人生は長命を得るでしょう。
 知足の生き方は、感謝の生き方でもあります。与えられたもの、自分の持っているものや環境に感謝して生きていく生き方が大切なのだと、お釈迦様は示して下さいました。

合掌


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