・・・・・・平成24年11月・・・・・・
 「無常

 現在、NHK大河ドラマでは「平清盛」が、毎週放映されていますが、この平家一門の栄華と衰亡を詠った、『平家物語』の冒頭は皆さんもご存じのことでしょう。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」と始まり、このあと、「おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ」と続きます。
 「平家にあらずんば人にあらず」とまで繁栄を極めた平家一門でしたが、この歌の様におごれる人もたけき者も必ずやがては衰亡するのが人の世のならいであり、人生もまた「はかないもの」であると「無常」を説いています。  「無常」とは、「常(永遠)なるものが無い」という意味であり、「ありとあらゆるものが、一つのところにとどまることなく、移り変わり、消滅してゆくこと。永久に存在し続けるものではないこと」、「変化していくこと」ですが、『平家物語』の様に、盛者が衰退していくというマイナスに向かうことだけが「無常」ではありません。
 無常は、変化していくということですから、良い方向、プラスの方向にも向かいます。たとえば、病気で苦しい思いをしていた人が、次第に回復し、病気が治ったり、新しく赤ちゃんが誕生したり、子どもたちが成長していくことも「無常」の現象です。「常が無い」のですから、世の中は留まる事なく、止まる事なく、たえず動いているのです。自分に都合よくも、悪くも動いている事が現実ですから、そのことに気づき、しっかりと受け止め認識して生きていかなければならないのです。
 道元禅師が示されるように、「光陰は、矢の如し」ではなく、「光陰は、矢よりも速やかなり」と、たちまち、瞬時に過ぎてしまうものなのです。だからこそ、しっかりと心して、日々この時、この一瞬を無駄にすることなく、努め励まなければなりません。

合掌


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