・・・・・・平成24年7月・・・・・・
六味
 梅雨で外出や外での活動が制限され、家の中にいることが多くなります。そんな家庭での楽しみの一つは食事です。家族であるいは親しい人との食事は楽しくて一味も二味も美味しいものです。味には一般に「五味(ごみ)」という種類があります。「五味」は中国の医学で考えだされたもので、「っぱい」[(にが)い」「い」「(から)い」「しおからい」の5種類の味に分けます。中国では、味と健康が深く関わりあっていると考えていて、この5種類のうち、偏った味の料理ばかり食べていると身体をこわすといわれています。
 仏教では、味を「六味(ろくみ)」という分け方をします。これは「五味」に「い」という味を加えたもので、『涅槃経』というお経に出てくるものです。道元禅師も「六味を調節しましょう」と示されていますが、六味を調節するときに肝心なのが「淡い」味です。「淡い」味は、味がするかしないかという位うすく、ほのかな味わいです。反対に、甘すぎたり、辛すぎたり、しおからかったりするのは濃い味です。昨今、お寺でのお坊さんの食事が注目されていますが、その理由の一つに「淡い」味があります。「淡い」味わいは、野菜や食材のもつ、本来の美味しさが残り、食べ物のもつ自然の味を味わうことが出来るのです。濃い味では、食べ物の本来の味はどこかに消えてしまいます。現在の料理は、濃い味付けのものが多くなっています。濃い味付けの食事には、塩分や脂分が多く、体調を損なう要素が多分にあります。「六味」で説く、「淡い」味を意識して、「淡い」味の美味しさを知ることが大切です。

合掌


来月も予定しています。光泰九拝
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