・・・・・・平成23年4月・・・・・・
自淨其意
 4月になり、新年度となってそれぞれ心(意)を新たにされたことでしょう。また、大震災の中で未だ不自由な生活を強いられたり、身内や親族、知人を亡くされ悲しみの淵から抜け出せずにいる人も多いことでしょう。そんな時節ですが、仏さまの教えを今一度それぞれの胸の内にしっかりと念じ日々を送りたいものです。  中国・唐代の詩人・白居易はくきょい・白楽天)は、道を求めて、山中で仙人のような暮らしをしていた道林(どうりん)和尚を訪ねます。
 白居易は、道林和尚に「仏教の根本の教えとは何ですか」と問うと、即座に答えが返って来ました。
 「諸悪莫作(しょあくまくさ)衆善奉行(しゅぜんぶぎょう)」と。
 「諸々の悪を作(な)すことなかれ。衆(もろもろ)の善行(よいこと)を奉行しなさい」というのです。
 白居易は「そんなことは三歳の子どもでも知っていることではありませんか」と反発したところ、和尚は平然と「三歳の童子でも知っていることであろうが、八十の老人でさえも行うことは難しい」と言い放ちました。当たり前ながら、日々実践することは難しいことです。
  「諸悪莫作(しょあくまくさ)」 (諸々の悪を作すことなかれ)、
  「衆善奉行(しゅぜんぶぎょう)」 (衆の善を奉行しなさい)、
  「自淨其意(じじょうごい)」 (自ら其の意思を淨くしなさい)、
  「是諸仏教(ぜしょぶっきょう)」 (是れ諸仏の教えなり)。
 これは、『七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)』といい、禅門でよく知られる偈文です。
 意味は「悪いことはするな、善い行いをしなさい、自らの心をきれにすること。これが仏の教えです」と、簡単明瞭ですが、同時に行うこと実践することの難しさと、実践の大切さを示しています。禅門ではこの四行の偈文を自分自身に照らし、返りみて大事にしていますが、「自淨其意」(自分自身で自分の心を淨くすること)の大切さ(実践)は、全ての人々への投げかけです。

合掌


来月も予定しています。光泰九拝
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